吹奏楽からの音楽生活史1 定期演奏会
定期演奏会を聴きに行く
中学入学前の小学校6年生春休み、実は先に母校吹奏楽部に出会っている。
誰に教えてもらったんだったか、駅前のホールで定期演奏会をやることを知った。
大抵の中高吹奏楽部は、春休みに身近な公共ホールを借りて定期演奏会(通称:定演)を開く。
二、三部構成で、吹奏楽のためのオリジナル曲やオーケストラのアレンジもの、ポップス、今では合唱まで、幅広いプログラムを用意して挑む大きな晴れ舞台だ。
プログラムを読み込んだ
どんな曲を演奏してたか今となっては思い出せないが、配られたプログラム冊子はよく覚えている。
表紙は黄緑色、中の白黒印刷コピー紙には校長や顧問の挨拶文から始まり、パート紹介が写真付きで載っていた。
おそらく各パートの二年生が、ひとりひとりの紹介文をフランクに書いていた。
内輪ネタすぎて分からないような支離滅裂な紹介文も、めちゃくちゃな中に楽しさや仲の良さが伝わってきてなんだか勢いで読める。そこが良い。これは大人では書けない!
所詮コピー用紙に学校の“印刷機”で大量印刷されたものなので黒く印刷潰れした画素の悪い写真なのだが、もみくちゃになって横一列に並んだり、笑顔だか叫んでるのかわからない顔でジャンプした途中を撮影したりと、日常のわちゃわちゃ感が全面に出ていて微笑ましい。
今思い出すと無邪気で可愛らしい写真だなという感想になるが、小学生の頃の私にはその無邪気さが自由さにうつったし、制服の着崩しが絶妙な“先輩”っぽさを醸し出し、すごく憧れた。
本格的に入部するまでに、このプログラムは何度も何度も読み込んだ。
吹奏楽で使われる楽器の名前を覚えたし、楽器の記載される順番もそこで知った。
(スコアに記載される順番と同じで、音の高い木管楽器から、最後に打楽器となる)
サックスをやりたいと決めてからは特にサックスパートをめちゃくちゃ読み込んだ。
読み込んだからといってサックスという楽器に関する情報はひとつもないし、上手くなるコツが書いてあるわけでもないのだが(笑)
あの頃はそういう暇と情熱があった。
入部してから3年間は、もちろん自分たちがプログラムの作り手となってわちゃわちゃした写真や文章を作ったのに、残念ながらそっちは全く覚えていない(笑)
その頃には、当たり前であるが文章なんかを読み込むことよりそのわちゃわちゃの渦中で過ごすことに熱中していたのだろう。そんなもんである。
うちを探したら多分プログラムが残っていると思う。
ボロボロしわしわになった黄緑色と、何色か分からない比較的キレイな三冊が。
(吹奏楽からの音楽生活史 1 完)
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